症状:
対人恐怖症と強迫性障害はどちらも正常な日常生活習慣や職業上の機能、社会的活動、他人との関係などを大いに妨げています。

 

対人恐怖症:強い不安や緊張のために、他人に軽蔑されるのでは無いか、他人に不快な感じを与え、いやがられるのではないか、また、それらを想像しただけでパニックに陥りそうになり、対人関係からできるだけ身を退こうとして、引きこもってしまいます。

 

強迫性障害:してはならないことをしてしまった、あるいは、してしまうのではないかという不安・疑惑を感じて質問や確認を繰り返します。(強迫観念)
自分や自分の生活圏が汚れや細菌などで汚染されているのではないかという強迫観念から手を何度も洗う、電気・ガス・戸締まり(鍵)・財布などを何度も確認して、出かけられなくなります。会社では会議・電話・書類・面談などを何度も確認して、対人関係に支障をきたしてしまいます。(強迫行為) 

 

発症因子:
セロトニン調節の失調があるという仮説が支持されてきています。

 

併存合併疾患:

醜形恐怖、自己臭恐怖、大うつ病性障害、トゥレット障害(チック)

対人恐怖症では統合失調症の前駆症状(発症前症状:漠とした緊迫困惑気分)の場合もあり得ます。

 

鑑別診断:

統合失調症(強迫性障害では患者さまが障害を認識し、洞察できている)、強迫性人格障害。

 

経過と予後
予後良好な指標としては、薬物治療や行動療法により日常生活習慣や社会職業的適応が改善されることや発症誘因が明瞭に特定できることなどです。

 

治療:
薬物療法:一般的にはセロトニン作動性薬剤 SSRI(デプロメ-ル、ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト)、アナフラニ-ル などです。当院での薬物療法はなるべく副作用の少ない薬剤を処方し、行動療法と併用して治療にあたります。

 

行動療法:対人恐怖症の場合は、薬物療法と併用し、回避しないで、少しずつ外出し、行動範囲を広げ、目標は対人関係を構築していくことです。デイ・ケア利用も効果的と思われます。

 

例えば集中治療室の看護師さんは医療過誤に到らないように、その日の循環器・呼吸器管理などの場合、手の甲にボ-ルペンで5から6項目くらい、点滴、人工呼吸器点検、循環器薬剤注入など重要項目を簡潔に記載し完了した項目に横線を引きいつでも手の甲を見れば完了した項目を確実に確認できるようにしています。
強迫性障害の場合は、看護師さんと同じように自宅では、電気・ガス・戸締まり(鍵)・財布など、会社では会議・電話・書類・面談などを手の甲に記載し終了したものに横線をして、手を見ればいつでも再確認できるようにしてみてください。

川崎メンタルクリニック